・DLCコーティングとは
DLCコーテイングとは、Diamond Like-Carbon の略称でsp2構造とsp3構造が混在したアモルファスカーボンであり、その中でも比較的高硬度な膜の工業的総称として使用されてきました。DLCコーティングとして、しゅう(摺)動部品、金型、パンチ、ドリル等の耐摩耗性を飛躍的に向上させることができます。具体的には、非球面レンズ金型、ピストンリングへの応用が広く知られております。
・DLCコーティングの分類
ISO規格では、a-C(アモルファスカーボン)、a-C:H(水素含有アモルファスカーボン)、ta-C(テトラヘドラルアモルファスカーボン)、a-C:H(水素含有テトラヘドラルアモルファスカーボン)を指すことが記載されています。従来はより広義で利用されており、ポリマーライクなカーボンもDLCと呼称される場合があります。我々は、その中でも高硬度で耐摩耗性が高く油中潤滑の良いta-C膜を中心に事業展開を行っております。
・DLCコーテイングの成膜技術
DLC膜は、以下の成膜技術で形成されます。
- FCVA法(Filtered Cathodic Vacuum Arc):
Nanofilmが開発した先進技術で、アークプラズマ源から生成された高エネルギー炭素イオンを磁場でフィルタリングし、基材に衝突させて膜を形成します - スパッタリング法:均一膜形成に優れ、金属基材との密着性を高めやすい。
- イオンビーム法:高密着性・高硬度膜の形成に適する。
プラズマCVD法:炭化水素ガスを用い、比較的低温で成膜可能。
弊社のTACコーティング特徴:
- 水素フリーDLC(ta-C)膜を形成可能(sp³結合比率最大で80%以上)
- 室温で成膜でき、熱に弱い基材(プラスチック、ゴム、セラミックス)にも対応
- パーティクルやドロップレットをほぼ完全に除去し、超平滑・高密度膜を実現
- 高密着性・高硬度・低摩擦係数を両立
- 膜厚は10μm以上の厚膜にも対応可能
この技術は、従来のPVDやCVDと比較して膜質の均一性・密度・耐久性に優れ、半導体、精密機器、自動車部品など幅広い分野で採用されています
用途例
- 自動車部品:ピストンリング、カムシャフトなどで摩擦損失低減。
- 精密機器:ベアリング、ギアなどの耐摩耗性向上。
- 医療機器:生体適合性を活かしたインプラントや器具。
- 切削工具:耐摩耗性と潤滑性により工具寿命を延長。
